福島班
3月
15

風評被害と被災地の現実

福島県田村市の商工観光課に勤めるAさんにあぶくま洞に連れて行っていただきました。あぶくま洞は福島県田村市にある鍾乳洞です。福島第一原発の西に位置する田村市では、原発事故で避難指示が出た半径20キロ圏(※田村市の4月現在:住民の一時帰宅、公益目的の立ち入りなどを柔軟に認める「避難指示解除準備区域」)、屋内退避が指示された20~30キロ圏、何も指示が出ていない30キロ圏外の3つの区域に分かれています。今回私たちが連れていっていただいたあぶくま洞も福島第一原発から30キロ圏外ではありますが30キロに近いところに位置しています。

あぶくま洞

距離を聞くだけでは一見リスクもあるのではないかと感じますが、実際にあぶくま洞で計測してみても放射線量には問題はありませんでした。

あぶくま洞での放射線量0.03μ㏜/h

それは今回の震災時の風向きや地形の影響で原発より南部にある地域では北部に比べると格段と線量は低いとされているからです。そして、お話を聞いたり自分で放射線に関することも調べてみました。やはり、原発事故によって、広範な地域に住む周辺住民、特に放射線被害を受ける危険性のある妊婦、乳幼児、子ども、そして若い世代の健康への不安は拭いきれないところがあるようです。どこまでが安全とされるのか、どのくらいの基準で住民の方の安心感が得られるのかを判断することは本当に難しいことであると感じました。

 

Aさんがおっしゃるには、彼の職場には「そちらでは防護服を着て生活しているのですか?」「子供が福島県に行っても大丈夫ですか?」などといった問い合わせが寄せられることが現在でもあるそうです。福島県には医療的も推奨される療養温泉があり、この温泉中は微量の放射線が含まれている放射能泉だそうです。それらによる放射線などが日常的に存在しているにも関わらず、そうした報道がないため、福島という名前だけでマイナスの判断がされてしまうのが現実だそうです。しかし、こういったお話だけでなく、福島県の元気も伝えてください、とAさんはおっしゃっていました。放射線による風評被害でマイナスのイメージが漂う中、福島県の方々は明るく、笑顔で復興に向けた活動をされている方がたくさんいます。風評被害に負けず、復興に向けてプラスの方向に動きつつある福島の現状を多くの人に知ってもらうことで観光地や地元の特産物などのアピールにもつながるのではないかと考えました。

 

 

 

3月
13

風評被害の深刻さ

3月13日、郡山市のビックパレットにて農産物の直売をされている方とお会いできる機会をいただけ、販売をお手伝いさせていただきました。少しの時間でしたが、仮設住宅にお住まいの方との交流ができました!
「郡山市の仮設住宅での直売」

そこで、仮設住宅で農産物を直売されている方に震災に関するお話を伺えました。

「東日本大震災が発生しましたが、私のところは、津波の被害や地震による大きな被害はそこまで受けませんでした。だから、非難されてきた方達の力になろうと思い、最初は「支援する」という気持ちで仮設住宅での直売を始めました。
そこに、福島第一原発の水素爆発により放射線の問題が出てきたんです。私の営むお店は特に農産物の質にこだわってよりよい品質の農産物を販売しており、また、質にこだわりを持ったお客様が買いに来てくださっていました。しかし、風評被害の影響によりお客様が大きく減り、それに伴い売上が大きく下落し経営が非常に厳しくなってきました。また、直売所に農産物を提供してくださっていた農家の方々も自然災害による被災や放射線問題、風評被害などにより農業を止められたり、縮小されたりと、店頭に並ぶ商品数さえも減少したり、どうしても以前のような品質の商品を提供できないこともありました。
また、震災直後では3、4か所の仮設住宅において直売していたのですが、日が経つにつれ徐々に街が復旧し、市街の巡回バスが利用できるようになりました。なので、仮設住宅にお住まいの方も商品の安さや種類の豊富さ、また、気分転換など精神的な安らぎなどを求めてバスを利用され、買い物などお出かけされることが多くなりました。これに伴って、仮設住宅での直売に足を運ぶお客様は徐々に減っていき、仮設住宅の直売での売り上げが下降していくと次々と直売されていた他の方達は撤退していかれました。私も徐々に拠点を減らしていったのですが、唯一まあまあ売り上げがあり、常連のお客様がいてくださる郡山市のビックパレットの仮設住宅での直売は今も続けています。
しかし、放射線問題による風評被害の影響によりお店自体の経営状況は非常に厳しく、大きな損害を被っています。また、東京電力による賠償金のシステムにも不満を感じており、これからの生活は不安でいっぱいです。
私はいつからか「支援する」という気持ちから「自分も被害者だ」と思うようになり、あの原発事故に対して非常に怒りを感じます。」
…と、お話してくださいました。

 

今回は風評被害に悩み、苦しんでいる直売所の方の率直な気持ちを伺えました。また直売のお手伝い中に、あるお客様が「この野菜は放射線のチェックは大丈夫なのですか?」と尋ねられている方もいらっしゃいました。それに対して、「検査済みですので大丈夫ですよ」と返答されていました。

 

私が関西にいるころは少なからず放射線に対して不安や心配はしていたので、消費者からの立場から、放射能を心配するお客様の気持ちはすごくわかります。しかし、福島県に来て、農業に携わるたくさんの方々の風評被害に関するお気持ちやお話を聞いて、両方の立場から放射線問題を考えた時、とても複雑な気持ちになりました。

風評被害とは消費者に不安を抱かせると同時に生産者の将来の生活をも左右させ、大変深刻な被害を生むものなのだと感じました。

3月
10

3月11日 農家民宿オープン! ―強さと生きる力

3月11日は阿部農縁の農家民宿がオープンする日です!

この日を迎えるために、3月9日、10日、東京大学生のボランティアさん達や寺山さんの娘さんも交えて私達は農園のお手伝いだけでなく民宿の改装のお手伝いもしました。特に民宿内の壁塗りは初めての体験で、とても印象に残っています!

壁塗りの様子

11日、農家民宿のオープン日では「民宿オープン内覧会」として、同じ農家仲間の森農園さんによるギター演奏や地元の方との餅つき大会、民宿でのカルタ大会などが催され、阿部農縁に関わる様々な世代、繋がりの方達とのふれあいがありました。皆さんとても楽しんでおられ、非常に盛り上がりました。

民宿でのふれあいふれ合い

また、14:46の東日本大震災発生時刻には参加者全員で黙とうし、亡くなった方々へのご冥福をお祈りしたと同時に今、生きていられていることへの感謝をしました。

 

寺山さんは震災発生当時、桃の摘蕾をしている中で被災されました。また福島第一原発の水素爆発による放射性物質などで不安な日々を送られ、一時は県外非難を考えられたらしいのですが放射線量が下がり、福島に踏みとどまることにしたらしいです。しかし、そこに風評被害という問題が寺山さんに突き付けられました。贈答用の桃から徐々に売れなくなり、売れ行きは震災前に比べて落ちたらしく、めげずに首都圏での復興イベントなどに出向いて直売を続けるも福島の桃だと知ると「検査済みですよ」と説明しても返す客がいたそう。「農産物を売り続けるために、ずっとこんな売り方をしなければいけないのか?福島という土地、農産物を理解する真のファンをじっくり作るためには、実際に福島にきていただいた方が良い」と、震災が発生した1年後にあたるこの日に農家民宿を始める決意をされたらしいです。「私達はここで生きている。思いを共存できる人と一緒に福島の自然・人・農業にふれあい、福島を楽しみたい。福島県に多くの人が来てこそ、本当の復興になるんだ。」と風評被害などの問題に負けず、むしろ跳ね返そうとしていらっしゃいます。

 

この日の寺山さんは1日中笑顔でいっぱいでした。阿部農縁を応援する地元の方、同じ農園仲間の方、様々なご縁で繋がった関東地方にお住まいの方や学生さんたち…たくさんの方に囲まれ、とても幸せそうでした。

ギター演奏においてギター演奏

まだ、私はたった1週間しか福島県に滞在していませんが、福島県の皆さんのたくさんの「強さ」を知りました。福島を愛し守り抜こうとする強さ、今まで人間が経験したことのなかった辛さや苦しみに立ち向かい跳ね返そうとする強さ、常に前向きに考え自分の人生をめいいっぱい楽しむ強さ。福島県の皆さんは自ら持っている様々な強さを味方に放射線問題、風評被害などに立ち向かっておられます。この様々な強さが今の福島の方々の生きる力となっているのだと考えます。このような福島県の方達と共に毎日過ごさせていただいてこちらも生きる力と元気をいただけ、同じ人間として学ぶこともたくさんあります。東北地方の復興を願い応援する全国の方にも是非福島を訪れ、生きる力を感じとっていただき、みんなで共に復興していけたら良いなと考えます。

 

3月
8

地震が引き起こした「陸の津波」

今回の震災で決壊した須賀川市ある藤沼ダムに連れていっていただきました。3月11日に発生した東日本大震災の強い揺れを受け、地震直後にダムは決壊し家屋や田畑を流失しました。下流の長沼地区と滝地区では死者7人、行方不明者1人の8人が犠牲になりました。そして、全壊した家屋は19棟、床上浸水家屋55棟という被害を出しました。
ダムの周囲は一周できるように歩道と車道で囲まれていましたが、震災で歩道は崩れ落ち、とても歩ける状態ではありませんでした。
≪写真1:崩れ落ちた歩道≫

決壊した方向に向かって車道を歩き進めるごとに道のひび割れは大きくなり今回の震災の被害の大きさを物語っていました。
≪写真2:ひび割れた道路≫


決壊部分は震災前にあった道路もなくなりすべてが流されていました。ニュースなどでは沿岸部の津波による被害や原発事故が多く取り上げられていますが、私たちが見に行った藤沼ダムは甚大な被害、犠牲者が出たにも関わらずあまり報道されていないのが現状です。
≪写真3:決壊部分≫


そして、現在課題とされているのが今後のダムの補修についてです。灌漑地域では田畑(水田)に支障が出ており、農業用水の必要性から早期の復旧を望む声があがっていますが、用水の必要性を認めながらも同じ場所での補修を行うことが危険であるという意見があり、再建について地域住民の意見は複雑であるようです。課題となっている藤沼ダムは貯水容量が約150万トンの灌漑用ダムで「アースフィルダム」と呼ばれる台形状に土を盛って作られたダムです。そして、震災前から老朽化で水が漏れていたため改修工事が行われていました。地域住民からは耐久性に問題があるのではないかと懸念されていたようです。このように早期の復旧を望む住民の方、震災前や補修に関する不安を感じている住民の方の双方が安全で安心して生活を送れるような対策が取られるべきではないかと感じました。また、この被害をたくさんの人が知ることで今まであまり知られていなかったダムについてのリスクの認識がされるのではないかと考えました。

3月
8

3月8日~農産直売魅力アップ研修会

今日は南会津町田島で行われた農産直売魅力アップ研修会に参加させていただきました。

農家の人が利用している農産物直売所で運営者と生産者双方が実践すべき基本事項や、消費者の購買意欲を喚起する先進的な直売手法を学び、農産物直売所の持続的な発展を目指すという趣旨の研修会でした。 研修会では売り場に置くポップを作ることや商品の袋詰めの仕方、並べ方など消費者の目がいくような工夫のなど、購買意欲がわく直売所を作るために役に立つようなことを講師の方が話されていました。

 

研修会に参加して、震災の影響がありながらも様々な角度から復興に向けた活動が行われていることに気づかされました。ボランティアのような直接的なサポートだけではなく直売所のような経済的な面のサポートに繋がることで、農家の方の生活の助けになる。そしてこのような活動が町の活性化にも繋がり、これからより必要になってくるのではないかと感じました。

 

≪写真1:農産直売魅力アップ研修会≫

研修の後、南会津郡下郷町にある塔のへつりに連れていっていただきました。福島県では有名の観光所の一つで国の天然記念物にも指定されている景勝地です。「へつり」とは会津方言で、川に迫った険しい断崖のことを言うそうです。今回の震災で直接的被害は免れたようですが、先日の記事と同様に観光地の利用者数は激減しているようです。実際に私たちが塔のへつりにいるときも観光に来ている方はほとんどいませんでした。福島第一原子力発電所から離れたこの町でもそのような事態であることを知り、風評被害の及ぼす大きさに衝撃を感じました。

≪写真2:塔のへつり≫